血液型性格分類

今から20年~30年前、「血液型性格分類」「血液型性格診断」といったものが、大流行しました。

 

「血液型性格分類」とは、「A型の人は〇〇だから・・・」「あの人は、B型なのに〇〇だよね」といったように、血液型により、性格や特性を決めつける言説で、書籍が売れ、テレビのトーク番組でも当たり前のように言われていました。時には「血液型性格分類」が情報番組の特集として組まれることも珍しくなかったですね。

 

2022年の現代となっては、「血液型と人間の性格に、科学的・統計的な相関は認められない」「血液型により人格を決めつけることは差別にあたる」という考えが当たり前になり、「血液型性格分類」の話はほとんど聞かなくなりましたが、人はどのような原理で行動してしまい、このような流行が起こるのか、考えてみました。

 

1.積極的肯定派

 

自分が初めて知った情報は、誰かに言いたくなるものです。

 

誰も知らない情報を自分だけが知り、「こんな情報があったんだ!」「これは面白い!」と思えば、人に言いたくもなりますね。

 

知らなかった人からは「何それ、知らなかった!面白い!」と言ってもらえるし、知ってる人からは「そうそう!」「そうだよね!」と共感を得ることができ、共通の話題になります。

 

「血液型性格分類」においても、テレビや雑誌で取り上げられはじめ、「これは面白い!」と感じ、話のネタとして使っていったのでしょう。

 

そこには冗談・話のネタとして使う人もいれば、心から信じていた人、両方いたと思われます。

 

今から10年~30年前は、テレビだけでなく、コミュニティの中でも、ごく当たり前のように「A型の人は〇〇だから~~~」「あの人は、B型なのに〇〇だよね」といった会話が行われていました。多くが積極的肯定派の時代でした。

 

2.積極的否定派

 

しかしながら、

 

「多種多様な人がいる中で、本当に4つの血液型で人間の性格が分類できるのだろうか?」

 

「日本以外の他国でも、そのような傾向はみられるのだろうか?なぜ日本だけ流行るのだろうか?」

 

「仮にそのような傾向があったとしても、ステレオタイプによって刷り込まれた結果としてそのような性格になってしまう(いわゆる予言の自己成就)という可能性はないだろうか?」

 

と疑問に感じ、自分の頭で考えたり、正しい情報を探していけば、「血液型性格診断」はデマ・ネタでしかないことが分かってきます。

 

 

また、自身の努力で変えられない肌の色を指摘することが差別にあたるように、生まれてから変える事のできない血液型により人のことをレッテル張りすることは差別に当たります。

 

「人権」という概念からも「血液型性格分類」は冗談でも口にする話ではないことが分かります。

 

科学的・統計的・論理的な考えを持ち、人権に関する知識を身につけることで、「血液型性格分類なんてタダのデマでしょ。話のネタでしょ」「血液型により人格を決めることは良くないこと」と「積極的否定派」に移行する人が出始めます。

 

3.中立派

 

しかしながら、コミュニティの大半が積極的肯定派の中で、

 

「血液型性格分類は、統計的には証明されてないよ。」

 

「血液型性格分類は日本でだけ盛り上がっていて、世界では嘲笑されているよ」

 

「血液型で人を決めつけるのは失礼なことだよ」

 

とでも言おうものなら

 

「面白くないヤツ」

 

「場の空気が読めないヤツ」

 

「話の通じないヤツ」

 

ということになってしまいます。

 

私自身、20数年前に、バイトの飲み会や大学ゼミのグループで大変な洗礼を浴びました。

 

そこで、余計な軋轢を生まない為、「血液型性格診断」の話題になったら、

 

「ふーん。そうなんだね。」

 

「ふーん。そうかもね。」

 

くらいで受け流す、という技を身に着けるようになります。

 

社会性・コミュニケーション能力を身につけた(?)ことで、「中立派」に移行したと言えるでしょう。

 

4.超積極的肯定派=「売る側」の人

 

そのような肯定派・否定派の中で、もっと実利的なメリットを得る人がいます。

 

それが「売る側」の人です。

 

多くの本を売る人、テレビを作る人、YouTubeで発信する人は、「正しい情報」で人々に役立ってもらいたい思いがんばっていると思いますが、一部の制作者・発信者にとっては「売れる」ことが正義であり、情報の正誤・それによって被害・実害が出ることについては無関係・無関心な人がいます。

 

そのような人にとっては、

 

売れれば良いのです。

 

話題になれば良いのです。

 

残念ながらそのような制作者・発信者が少なからずいることは事実です。

 

社会にはそのような「売れればなんでもOK」「知名度が上がればなんでもOK」な人がいることを理解して情報に触れた方が良いでしょう。

 

まとめ:この現象は血液型性格分類だけの話ではない

今回は「血液型性格分類」を例に話を出しましたが、このような現象は、「血液型性格分類」だけに起きていることではありません。

 

数年前には、「ワクチンの効果・副作用」で、フェイクニュースがはびこりましたね。

 

私の知り合いの1人は、「コロナワクチンを打つと遺伝子が組み替えられてしまうから、コロナワクチンを打った人は人間ではない」と本気で信じていました。

 

 

私たち消費者は、何かの情報に触れた際に、「それは本当に正しい情報なのか?」「これは制作者・発信者が売れたい・目立ちたいから珍しい言説を言ってるのではないか?」と疑ってみる視点を持っておくのが大切ですね。