日本一のマッチョな園長の趣味の一つに「旅行」がありますが、漠然と観光・休暇するだけでなく、「世界遺産を100カ所巡る」という目標を設けています。
何事も目標を持つと、楽しみ方・取り組み方の目線が一段上がって、より楽しみ甲斐・やりがいが出ますね。
そんな趣味が高じて、「世界遺産検定3級」を取得したりもしました。
今回は、世界遺産を巡る旅や、世界遺産検定を取得する中で見つけた、世界遺産に関する豆知識を3つ紹介します。
豆知識1.文化遺産と自然遺産がある
世界遺産には、大きく分けて文化遺産と自然遺産があります。
ざっくり言えば、
人類が作った歴史的な建造物は文化遺産。
大自然が作り出した自然の神秘は自然遺産です。
例えば、平成5年に日本初の世界遺産に認定された「姫路城」は、人類の手で作られた歴史的な建造物なので、文化遺産ですね。
そして、平成17年に世界遺産に認定された「知床」は、流氷による栄養豊かな海水により、多種多様な生物がいることが認められて、自然遺産として登録されています。
そして、文化遺産の要素と、自然遺産の要素の、どちらも満たした複合遺産もあります。
2021年時点では、全世界遺産1154件中、文化遺産が897件、自然遺産が218件、複合遺産が39件となっており、大半は文化遺産であることが分かりますね。
そして、「世界遺産を巡ろう」と思った時、「文化遺産」を巡るのはハードルが低いです。
それは、数の面から言ってもそうですが、最も大きな理由は「文化遺産」は観光地化していることが大半です。
対して、「自然遺産」として認定されている世界遺産は、「自然そのまま」であることが世界遺産に認められる条件になっていますので、観光のハードルが高いことが多いですね。
具体的には、辺鄙な場所にあって行くまでの交通手段が大変だったり、暑かったり寒かったり、周辺にお店や宿泊施設がなかったりと、「快適な観光地」とは程遠いことがほとんどです。
2022年4月に知床で悲しい事故がありましたが、世界遺産の「自然遺産」を巡るならば、それなりの知識・準備・覚悟が必要であることが分かりますね。
私と同じく「世界遺産を巡ろう!」と思った方は、まずは「文化遺産」から目をつけていくのをおすすめです。
豆知識2.登録基準に注目してみよう
世界遺産に認められるには、様々な条件がありますが、登録基準の10個のうちの最低1つに該当することが必須となります。
この10個を暗記するのが世界遺産検定では大変なところなんですが(笑)以下に転記してみます。
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人間の創造的才能を表す傑作である。
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建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
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現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
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歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
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あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
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顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
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最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
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生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
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陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
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学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。
この10個の基準は、1つしか該当しない世界遺産もあれば、複数該当する世界遺産もあります。
例えば、先ほどの「姫路城」であれば、1と4が該当します。人間の創造的才能と、歴史上の重要な段階を物語る建造物であることが評価された、ということですね。
広島の「厳島神社」は、1、2、4、6と四つも該当しています。姫路城の基準に加え、発展に重要な影響を与えたことと、交流が評価された、ということになります。
原則、1~6が文化遺産の基準、7~10が自然遺産の基準となります。
前段でも紹介した自然遺産の「知床」は9と10が該当し、海洋の生態系の進化と、絶滅するおそれのある種の生息が評価された、ということになります。
このように「この世界遺産は何を評価されて登録されたのか?」という点に注目しながら世界遺産を巡ると、楽しさも増えますね。
ちなみに、1~6の全てを満たす文化遺産や、7~10の全てを満たす自然遺産は、残念ながら日本にはありませんが、世界にはいくつかあります。
「最強」が大好きな少年的な心を持つ園長としては、登録基準満点の最強の世界遺産も優先的に行ってみたいと考えています。
豆知識3.どこまで見学したら「行った」と言えるのか問題
これは世界遺産巡りをするにあたって、頭を悩ませる問題です。
「姫路城」や「原爆ドーム」のように、単体の建物で世界遺産として登録されているものは、「この世界遺産に行ったことがある」という定義も分かりやすいですね。
姫路城に行けば、世界遺産「姫路城」制覇。
原爆ドームを見学すれば、世界遺産「原爆ドーム」制覇。
非常にシンプルです。
問題が起こるのは、平成11年に登録された「日光の社寺」のように複数の建物・範囲で登録されている世界遺産です。
世界遺産「日光の社寺」を詳しく紹介すると、この世界遺産は「日光東照宮」「日光二荒山神社」「日光山輪王寺」の2社1寺、それに加えて、「日光山内」という103棟の建造物・景観を全てまるっと含めて世界遺産に認定されています。
これは、2社1寺や景観をすべて含めて世界遺産に認定されているので、「日光東照宮」単体では世界遺産に認定されていなかった可能性も高い訳です。
では、この場合、「日光東照宮」だけ見学に行った人は、『世界遺産「日光の社寺」を巡った』、と言っていいのかどうか・・・・少し悩ましく感じませんか?
『日光山内の103棟を見て回るのは無理にしても、せめて2社1寺は回らないと、「日光の社寺」を巡ったとは言えない』とか、色々なマイルールがありそうです。
複数の建物・範囲で1つの世界遺産と認定されている場合、「どこまで見学したら行ったと言えるのか問題」は、世界遺産好きには議論が尽きないテーマでしょう。
ちなみに、平成28年に登録された東京の「国立西洋美術館本館」は、単体で世界遺産に認定されている訳ではなく、正確には世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品」の構成資産の一つです。
世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品」は、東京の「国立西洋美術館本館」を含む7つの建物で1つの世界遺産として構成されています。
7つのうちの1つに行っただけでは、「ル・コルビュジエの建築作品」を制覇したとは言えませんよね。
では、7つある「ル・コルビュジエの建築作品」の全てを巡ろうとすると、残りの6つは「フランス」「アルゼンチン」「ベルギー」「ドイツ」「インド」「スイス」にそれぞれ1つずつあります。
7ヵ国を周って、ようやく世界遺産「ル・コルビュジエの建築作品」を制覇したと言えるのです。
世界遺産を巡る旅のやりがいを感じさせてくれますね!
まとめ:世界遺産を巡る旅は楽しくやりがいがある!
以上、世界遺産に関する豆知識3つでした。
あなたは人類の叡智を感じる文化遺産が好きですか?自然の神秘を感じる自然遺産が好きですか?
あなたが気になる登録基準はありましたか?
『どこまで見学したら「行った」と言えるのか問題』の、あなたなりの答えはいかがでしょうか?
世界遺産100カ所を巡る旅は、楽しさとやりがいに溢れています!