水前寺清子さんのヒット曲、「三百六十五歩のマーチ」の歌詞の一節に有名なワンフレーズがあります。
「3歩進んで2歩さがる」
私たちは、今まさに2歩さがっている最中(さなか)、と言えるでしょう。
世界が一丸となっていた日
ほんの数か月前まで、世界は一丸となって、「より良い地球環境、全ての人に優しいルール」を目指していました。
SDGsはその最たる例と言えるでしょう。
貧困、飢餓、教育といった、主に途上国を支援する考えや、
気候変動、水産資源といった自然環境への配慮。
ジェンダーや人種による不平等の解消。
そして、平和というものが掲げられていました。
第2次世界大戦、そして冷戦を乗り越えて、世界が一つになり、地球全体・人類全体の安全と発展を願って活動していた人類史にとって稀有な貴重な期間です。
冷戦終了後の1990年頃~2020年頃の約30年で「3歩進んだ」と言えるでしょう。大きな前進でした。
現在は「2歩さがっている最中」
しかし、この数か月で世界は一気に後退しました。
要因はもちろん、ロシアによるウクライナ侵略です。
戦争の無い世界から、戦争のある世界へ。
核兵器を無くそうとする世界から、核兵器で脅し・核兵器で守らなければならない世界へ。
資源をみんなで効率的に使う世界から、資源を駆け引きに使い、奪い合う世界へ。
平和から、今日を生き延びることができるか不透明な世界へ。
残念ながら、私たち人類は、今まさに「2歩さがっている最中」と言えます。
それでも1歩ずつ進んでいきたい
ロシアのウクライナ侵略がどのような決着が着くのか、いまだ不透明ですが、どのような形で決着がついたとしても、以前のような「(ロシアを含めた)世界一丸となって」という国際体制にすぐに戻ることは不可能でしょう。
少なくとも数十年という単位の時間が必要になることは間違いありません。
2歩下がってからの次の前進はいつになるのか、もどかしいところです。
しかし、それでも、私たち人類は、長い時間をかけて、より良い社会を作り上げてきました。
奴隷制度が廃止され、居住や職業の自由を得て、男女平等を目指す社会になりました。
それは、100年、1000年という単位の時間の中で、その時代の人たちが「少しでも良い社会を作ろう」として、努力した結果なのです。
ウクライナに関するニュースでは、暗澹たる気持ちになることが多いですが、そんな時こそ、「自分がより良い社会を作るためにできることは何か」について考え、行動したいものですね。
最後に、水前寺清子さんのヒット曲、「三百六十五歩のマーチ」の歌詞から一部を引用して終わりたいと思います。
しあわせは 歩いてこない
だから歩いて ゆくんだね
一日一歩 三日で三歩
三歩進んで 二歩さがる
(中略)
人生は ワン・ツー・パンチ
歩みを止めずに 夢みよう
千里の道も 一歩から
はじまることを 信じよう
歌:水前寺清子
作詞:星野 哲郎
作曲:米山正夫