日本では、以前から「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という話を良く聞きます。
これは本当なのでしょうか?
目次
「筋トレをすると身長が伸びなくなる」の迷信・思い込みの原因は何か?
「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という、科学的・統計的データは、私が調べた限りではありませんでした。
代わりに、「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という思い込みがしやすいロジックが2つありました。
高身長な人は高身長を活かしたスポーツを志向しやすいから
高身長な人は高身長を活かしたスポーツを選びやすいです。
例えば、バスケットボール・バレーボールなどが代表ですね。
背が高い少年・少女がいたら「せっかく背高いんだから、バスケットかバレーやりなよ!」と助言する人は多いですね。
反対に、どんなにバスケットボールやバレーボールが好きでも、身長が理由で挫折してしまった人も少なくないでしょう。
身長に関わらず、どのようなスポーツを嗜むのは自由ですが、自身の身長によって選ぶスポーツが変わる、ということは充分あり得る話です。
高身長な人は、高身長を活かしたスポーツを選択しやすい、というのは充分考えられることでしょう。
ボディビルは低身長が有利だから
筋トレは全てのスポーツに関連しますが、「筋トレ」と聞いて最もイメージするスポーツは、やはりボディビルでしょう。
では、ボディビルは、高身長と低身長、どちらが有利なのでしょうか?
これはあまり知られていない事ですが、実は、ボディビルは低身長の方が有利と言われています。
なぜかといえば、同じような筋肉量の場合、低身長の方が筋肉が大きく見えるからです。
同じような体格の人でも、身長160cmの人よりも、身長185cmの方が、スッと細く見える。そんな経験はありませんか?
逆に言えば、身長160cmで腕周りが50cmの人と、身長190cmで腕周りが同じ50cmの人がいた場合、高さと太さの比率から、身長が低い人の方が腕が太く(筋肉が多いように)見えるのです。
タイムや高さなど、数値で測るスポーツではなく、見た人の印象による芸術点で測るスポーツなので、同じような筋肉量の場合、低身長の人の方が筋肉が大きく見えてしまうのです。
高身長な人が、高身長を活かしてバスケットボールやバレーボールを選ぶのと同じように、自身の身体の特性を活かして、ボディビルを選択する、というのも、あり得る話ですね。
「筋トレをすると身長が伸びなくなる」の迷信・思い込みの原因のまとめ
以上の事から
高身長な人は高身長を活かしたスポーツにいきがち
ボディビル選手は高身長だと不利
ボディビルに出ている筋肉ムキムキの人は、背が低い人が多い(ように見える)
↓
筋肉を鍛えると身長が伸びなくなる
このようなロジックで「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という説が広まっていったと思われます。
筋トレをした方が身長は伸びる
「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という説は、統計的にも、科学的にも根拠がなく、迷信や思い込みのようなものであることが分かりました。
では、反対に「筋トレをした方が身長が伸びやすくなる」という考えはどうでしょうか?
筋トレをした方が身長は伸びる科学的根拠
筋トレをした方が身長が伸びるという強い科学的根拠は2つあります。
1つは、筋トレを行うことでの成長ホルモンが分泌します。
この成長ホルモンが、骨を伸ばす役割を持っており、身長が伸びやすくなることが分かっています。
もう1つは、骨への刺激です。
運動をすることで、骨の先端が刺激され、こちらも骨が伸びやすくなる要因になると言われています。
これら2つのことから、成長期に筋トレをすることは「身長が伸びることに繋がる」と言われています。
まとめ:「筋トレをすると身長は伸びる」
「筋トレをすると身長が伸びなくなる」という統計的・科学的根拠は乏しく、「筋トレをすると身長は伸びることに繋がる」という科学的根拠を2つ紹介しました。
現在は、「筋トレは身長が伸びる」という考えの方が主流と言えます。
最も、「小学生からダンベルを使って筋トレすることを推奨する」という訳ではありません。
10代の前半までは、どんなに筋トレしても筋肉の発達には限界があります。
むしろ、走ることによる肺活量の向上や、投げる・蹴るなどの技術力の向上、神経系の刺激の方が、成長の度合いや効率は良いです。
高校生くらいなれば、重いダンベルやバーベルをもって、筋トレすることで、筋肉の発達も十分に追いついてきます。ただし、やり過ぎによる腱や関節のケガには充分に注意しましょう。
そして、「身長を伸ばしたい」と考えるならば「筋トレを控える」という消極的な発想・活動よりは
・炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルを考慮した、バランスの良い栄養を充分にとる
・睡眠時間を充分にとる
・ストレスを溜めない
といった要素の方が重要といえます。