「学力」の経済学

あなたの教育者としてのバイブル(座右の書・愛読書)は何ですか?

私なら中室牧子さん「「学力」の経済学」と答えます。

幼児教育者としてのバイブル

あなたの幼児教育者としてのバイブルは何ですか?と問われれば、フレーベル、シュタイナー、ピアジェ、倉橋惣三など、幼児教育の大御所の著書をあげられる方も少なくないでしょう。

ちなみに、エンゼルグループ前代表の市川由貴子氏ならば、井深大さんの「幼稚園では遅すぎる」や、鈴木慎一氏の「愛に生きる」をあげていました。

 

では、私ならば何か?と問われたら、中室牧子さん「「学力」の経済学」と答えます。

 

「学力」の経済学が私のバイブルである理由

本書によって起こった幼児教育の2つの変革

2015年に発売された本書をきっかけに、日本の幼児教育に2つの変革が起こったと考えています。

1つ目は、幼児教育(の効果)にエビデンス(統計的な証明)が求められるようになったことです。ビリギャルに代表されるような一部の特例を取り上げるのではなく、数千人規模を対象としたデータの統計をとって、科学的・統計的に効果が出る方法を見極めましょう、ということですね。

2つ目は、「非認知能力」の効能にスポットが当たるようになったことです。「非認知能力」の概念自体はそれほど新しい概念ではなく、これまでも幼稚園教育要領では「生きる力」といった表現でなされてきたことと大きく変わるものではありません。しかし、「人生の成功や幸せには、非認知能力を高めることが重要である」ことが統計的に証明されたことが大きかったです。

この本をきっかけに、エビデンス非認知能力という言葉が幼児教育界で盛んに言われるようになりました。

この2つの言葉は、現代、そして、これからの幼児教育を語るのに必須のキーワードと言えるでしょう。

そして、2019年10月より幼児教育保育無償化が開始されましたが、その政策判断に至っては、本書の「幼児期における非認知能力教育の有用性」がエビデンスを用いて解説されていたことは、極めて大きな影響があったと私は推察します。

 

「学力」の経済学が私のバイブルである理由

私が本書をバイブルとしている理由は2点。

1つめは、「教育効果は1人のモデルケースではなく、統計・エビデンスをもって判断しよう」とする筆者の考えに共感するから。

これは私も理系・数学的思考が好きなので、大いに共感するところです。

 

2つめは、エンゼルガーデン幼稚園(エンゼルグループ)では、かねてよりやり抜く力・忍耐力・自己肯定感・人と関わる力といったものを育んできました。

つまり、「非認知能力」という言葉が作られる前から、エンゼルガーデン幼稚園では非認知能力に注力し教育活動を行っていたのです。

そのような意味では、この本は、エンゼルグループの教育を言語化してくれたこと、そして、エンゼルグループの教育が科学的・統計的に正しかったことを私たちや世間に証明してくれた本だと感じているからです。