ヤングケアラー問題を知っていますか?
ここ1年ほどで、社会問題として取り上げられる機会が多くなってきました。
ヤングケアラー問題を知り、自分には何ができるか考えてみましょう。
ヤングケアラー問題とは?
ヤングケアラー問題の「ヤングケアラー」とは、直訳すれば「幼き介護者」となります。
日本では法律上の定義はありませんが、一般的には
- 18歳未満の子どもが
- 親・祖父母・兄弟の介護・家事を担っている
状態のことを指します。
ここだけ聞けば、家族思いの優しい子、となってしまいそうです。
このようなヤングケアラーの子どもたちが抱えている問題が「ヤングケアラー問題」です。
ヤングケアラーの子どもたちは、次のような問題を抱えています。
- 同じ年の他の子どもたちが、一緒に遊んでいる時間も、自分は下の子の面倒を見なければならない。
- 同じ年の他の子どもたちが、勉強している時間も、自分は介護をしなければならない。
このような状況が、毎日長時間、そして、長期間続くことによって、勉強に追いつけなくなったり、就職を諦めることになってしまったり、交友関係が狭まったりしていることを、社会問題と捉え、「ヤングケアラー問題」として、近年注目されています。
これまで正確な人数は把握されておりませんでしたが、2020年12月に厚生労働省が実態調査を行い、全国の中学2年生の6%、高校2年生の4%がヤングケアラーに該当する、と発表されました。
勉学に励んだり、部活に打ち込んだり、友達と遊ぶといったことができず、介護中心の学校生活になってしまっている子どもが、クラスに1~2人もいることが明らかになったのです。
ヤングケアラーに私たちは何ができるか
概念の周知
ヤングケアラーは、ある日突然に大量発生した訳ではなく、以前からそのような状態の家族や子どもは、数多くいたと思います。
しかし、自助・自己責任を中心とした社会の中で、社会問題として認識されることがここまで遅くなってしまいました。
ヤングケアラーは、望むべくしてそのようになった訳ではありません。
また、ヤングケアラー自身にそのような責任があることは皆無でしょう。
「18歳未満の子どもが、家族の介護をする」というのは、本来守られるべき立場である子ども自身の権利が守られていない異常な状態なのです。
これはヤングケアラー自身の問題ではなく社会問題です。
ですから、ヤングケアラー問題を、まずは社会に認知してもらう必要があります。
私が今回このブログで取り上げたのも、皆にヤングケアラー問題を知って、理解してもらいたいからです。
そして、ヤングケアラー自身も、これが社会問題だと認識している人は多くありません。
行政などに適切に相談を行い、支援を受けることでぐっと楽になれる場合があります。
そのようなことを、ヤングケアラー自身に伝えてあげることもサポートの一つになります。
支援制度の充実
「行政の支援」と先述しましたが、残念ながらヤングケアラーに対しての支援は、まだまだ手薄です。
ヤングケアラー問題を認識し、支援をすることを表明している政治家を応援することも、ヤングケアラー問題解決の為の手助けになります。
近日行われる衆議院選挙で、ヤングケアラー問題について取り上げる候補はどれだけいるでしょうか?
そのような視点を持つことも大切ですね。
まとめ:ヤングケアラーが自分の人生を歩めるような社会に
「18歳未満の子どもが、親や祖父母、兄弟の面倒を見る」というのは、美談として取り上げられがちです。
しかし、子どもには子ども自身の人生があります。
ヤングケアラーの子どもが、介護によって自分の夢を諦めなくてはならない社会は、私は望ましいとは思いません。
ヤングケアラー問題が、社会問題としてきちんと認知され、適切な支援が行われる社会になることを応援しております。